ISDA(国際太陽系開発機構)の中でも花形といえるセクションといえば、ドラゴノーツである。特にリンドブルムユニットの隊長を務めるライナ・クロムウェルは甘いマスクと気品溢れる物腰で世の女性たちに大人気。連日、TVや各種メディアに出演し、映画スターも裸足で逃げ出すほどの熱い視線を世界中から集めている。

-----「私の人気ですか? そうですね、やはり多くの方に注目していただけるというのは、大変有難いことだと心得ています。何よりも、私がTVなどでお話をさせていただくことで、ドラゴノーツの活動についての理解を深めていただけることに、非常に重要な意義を感じています」

 ライナ本人としては、アイドル的にちやほやされることに喜びを感じるというよりも、自ら広告塔となることを職務として強く実感しているようだ。では、改めて現在のドラゴノーツの活動内容について聞いてみよう。

---「20年前に冥王星を消滅させたタナトスが、その軌道上に停滞したままだということは、皆さんよくご存知だと思います。そのタナトスがいったん旧冥王星の軌道を外れた場合、やがては地球に到達し、地球もまた彼の星と同じ運命をたどる可能性が非常に高いと予測されています。我々ドラゴノーツは、日々タナトスを調査・観測するとともに、緊急事態に備えてタナトスを破壊する宇宙機の開発とパイロットの訓練に務めています。つまり、タナトス接近に際しての総合対策チームが、ドラゴノーツなのです」

 実に頼もしい限りだが、ある意味で命と引き換えに地球を守る、かなり危険な任務である。恐怖心はないのだろうか?

---「ない……と言えば、嘘になるかもしれませんね。しかし、私を含めドラゴノーツのパイロットたちは、全員がそれぞれに目的を持って集まってきた、勇敢な者たちばかりです。もちろん、命を無駄に捨てるような真似をするつもりはありませんが、いざという時の覚悟は出来ているつもりです」

 また、人類未踏の地である冥王星宙域への到達は、ライナ自身にとっての夢でもある。

---「もともと宇宙へ出ることに憧れていて、大学もその為の専門的な課程に進みました。大学の先輩には既に宇宙機のパイロットとして活躍している人物も多く、私がISDAに入局したのも、ある先輩の推薦があったからこそなんです。その先輩に見届けてもらうためにも、いつかは冥王星軌道へ向けて飛び立ってみたいという思いは強くあります。ドラゴノーツの一員としては、その時が来ないことを願わなくてはならないのですが(笑)」

 タナトスの脅威が去り、平和になった世界で自由に宇宙を飛びたいと語ってくれたライナ。
  クールな眼差しに秘められた彼の思いは、誰よりも熱い。



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