物語も折り返し地点を越えた『ドルアーガの塔 ―the Aegis of URUK―』。果たしてクライマックスは、どのような内容になるのか。後編は最終回の第12話の内容についても少しだけオープンに!

―― クライマックスについて、できる範囲で教えてください。

千明 最後はドルアーガとの戦いになります。先日絵コンテも描き終わりました。

賀東 脚本でもドルアーガとどう戦えばいいか、かなり考えました。なにしろ体が大きいだけでなく、その顔に知性がある。あのデザインがとても強そうでしょう(笑)。見るからに勝てそうにない。でも「ファンタジーだから伝説の剣が輝いてスーパーパワーで勝ちを収める」という展開はやらない、というのは最初から決めていたことですので、ジルたちとドルアーガの戦いは工夫やチームプレイが主体になりますね」

千明 そうですね。ドルアーガのデザインはまだ脚本が決まる前にPVを作っている時に決定稿を仕上げてもらったんですよ。その時は、まだ具体的な戦い方なんて全然話してませんでした。もうちょっと倒しやすそうなデザインのほうがよかったかも(笑)。

賀東 いや、そういう計算しきれない部分が物語にプラスになるいんですよ(笑)。

千明 賀東さんも言った通り、ドルアーガとの戦い方はジルらしいというか、アニメ『ドルアーガの塔』の世界観らしくというか、非常に地に足のついた戦い方です。ジル一人で戦うわけでもないですし。それでも、絵コンテを描いていてジルも第1話から比べるとずいぶんたくましくなった思いましたね(笑)。本質は変わってはいないけれど、かっこいいなと思いながらコンテを描いていました。見た目は、振り落とされないようにしがみついているような感じなんですが、そのための気合いが違うというか。

賀東 ドルアーガを前にしてジルがつぶやくセリフがあるんです。スタジオに入ってその部分を書いていたんですが、自分で思わず「おお、かっけー!」って叫んでしまいましたよ(笑)

千明 いやホント、かっこよかったですよ。余裕を感じさせる言葉で。むしろ余裕がないのは、こっちのほうで(苦笑)。最終回の第12話は、絵コンテを描いても描いていても終わらない。普通は1話あたり120枚から150枚も描けば終わるのだけれど、今回は200枚を超えています。アクションを丁寧に描いていることもあるのだけれど、それにしても大変な量です。なにしろ第11話、第12話は、アクションだけでなく、ショッキングなことも、ロマンスもあったりしますから。あとこれはネタバレにならないと思うから言ってしまいますが、まさかマーフがあんなふうに死んでしまうとは思わなかった。脚本を読みながら「ええっ!」と叫んでしまいました。

賀東 (笑)

千明 ええ。あそこはなかなか迫力があるシーンにできたと思います。

―― クライマックスに向けてギルガメス王は再登場するでしょうか?

千明 出ます。それ以上はいえません。

賀東 ほかの話数でも、何度か出そうと思ったんですが、時間の都合で出せなかったんです。それで登場が最後になっちゃいました。

―― 一つ気になっていたことがあるんですが、ジルとギルは名前が似ています。ジルはギルの後継者と考えればいいんでしょうか?

千明 それは違いますね。ジルはジル、ギルはギルです。ジルはジルの道がありますね。

賀東 そうですね。そもそも本編でもセリフで言わせていますが、英雄っていうのは後にいろいろいわれるもので、本人にとってはあまり関係のないことだと思います。このあたりが本編でどこまで描かれるかは別ですが。

―― クライマックスを待っている視聴者にメッセージをお願いします。

賀東 これまで変わってきたことをずいぶんやったので、どうなるのか不安に思っている視聴者の方もいるかもしれません。でも大丈夫だと思います!(たぶん!)最初はのけ者だったジルが次第に皆の中心になって、敵に立ち向かっていく。変化球は多かったけど、実はきっちりど真ん中にストライクを入れてるのがこのアニメですので、その辺りはご安心して楽しんでいただけるのではないか、と思います。」

千明 6月放送分からはもうラスとまで一気呵成ですよね。今回制作していて、第5話、第9話は、スタッフ全員のベクトルがきちっとそろって集団作業であるアニメのおもしろさが出すことができたと思っています。最終回に向かってスタッフのテンションも上がっているので、最後まで楽しみにご覧ください。

テキスト:藤津亮太

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