「砂ぼうず(水野灌太)」役の鈴木千尋さんにインタビュー

――「灌太」というキャラクターを演じた感想を教えてください。
これまでは、どちらかというと静かでおさえた感じのキャラを演じることが多かったんですが、今回は最初の収録のときに「二枚目キャラにならないように、三枚目で、三枚目で」って念を押された点が面白かったですね。

今まで僕が演じたキャラクターは、「考えてから行動する」というタイプが多かったんですけれど、灌太の場合は「行動してから考える」という、理由が後づけのキャラクターなんですよね。
そういう性格なので、ストーリーによって、シリアスな灌太だったり、おバカな灌太だったりするので変化が激しくて演技が大変でしたが、自由に演じさせてもらえたので気持ちがよかったです。

また、監督からは「スピーカー的なキャラクターにならないように」と言われました。
灌太は多面的なキャラクターなので、それぞれの場面によってまるで別人のように、様々な表情を出して欲しいと言われていたので、その辺りに気をつけて演じました。


――今回、三枚目のキャラクターを演じることに戸惑いなどありましたか?
特に戸惑いもなく、逆に新しい扉が開かれたという感じがしましたね。
「ああ、自分にもこういう部分があったんだ」という新たな発見ができたので、演じていてとても楽しいキャラクターです。
ここまで無茶しても大丈夫なんだ、というリミッターも上がりましたし(笑)。
台本を読んで自分の中で最初に思いついたイメージを実践し、演技を楽しむ方向にキャラクターを作っていったんですが、それが結果的にうまくいったのかなと思ってます。



――アフレコ収録時に注意してることはありますか?
セリフの緩急にものすごく落差をつけて演じるように注意しましたね。
灌太は本来、セリフ自体にとてもスピード感のあるキャラクターなので、アクションシーンではこれでもかというくらいにスピード感を出すようにしています。
逆に、シリアスな「砂漠の便利屋」としての顔を見せる時もあるんですが、その時はねちっこくセリフを言ってみたり、逆にさらっと軽く流すように言ったりすることで、怖さを表現するように注意しました。

灌太を演じるにあたって原作の「砂ぼうず」を全部読んだのですが、原作自体も話が進むにつれて灌太のイメージがどんどん変わっていくんですよね。
元々の便利屋稼業から、次第に戦争に乗じて自分の地位を確立していく話になるじゃないですか。
今回、その過程をかなり意識して演じましたね。
初期の頃の灌太は、「気持ちが良ければいいんだ」といったような私利私欲に満ちたキャラクターですが、次第に同じ私利私欲ではあるけれど、もっと冷徹に国家との取引を考えたりするような、少し独裁者っぽい雰囲気になってきますよね。
ですので、後半は意識的に冷たく演じています。



――砂ぼうずは収録時にアドリブが多いという話ですが。

僕はアドリブが嫌いではないので、むしろ「あ、やっていいんだ」という感じで楽しみながらアフレコをしました。

アドリブで特に印象に残っているのは、第2話の雨蜘蛛との対決シーンですね。
銃を撃ち合ってるうちに弾がなくなって、石コロとかその辺にある色々な物とかを投げつけて戦うシーンなんですが、雨蜘蛛を演じる若本さんのアドリブに乗って、アドリブとアドリブの応酬になりました。

最後の方はストーリーと全然関係のないセリフの応酬になったりして(笑)。
アフレコ現場の雰囲気がアットホームなのも非常にやりやすかったですね。
特に、マシンガン3兄弟たちとの絡みなんかは自由に、伸び伸びと演じさせていただきました。



――砂ぼうずで印象に残っているシーンはどこですか?


まず、ストーリー全体として、登場するキャラクターが敵や脇役も全部含めて、色がハッキリしているのが面白いですよね。
雨蜘蛛との対決シーンはもちろんのこと、マシンガン3兄弟や、第1話に登場する蛙(かわず)の親分との戦いなんかも面白いですよね。
変身しちゃいますし(笑)。

第10話で大木民雄さんが演じる貝塚薫の迫力に負けまいとする灌太も好きで、印象に残っています。
また、DVD版とテレビ放映版とでセリフやシーンがまったく違う回もあるので、1話で2話分楽しめるのも面白いと思いましたね。



――声優として鈴木さんが常に心がけていることはありますか?
原作がある作品の場合は、必ずはじめにしっかり読むようにしています。キャラクターを演じる上で、原作の世界観を大切にしたいと思っているんです。
また、なるべくパターン化しないように、自分の型を壊していきたいと、いつも意識しながら演じています。
常に冒険を忘れないようにしよう、といった感じですね。

声優という仕事は、スタッフや共演者の皆さんの協力があって成立するものなので、作品が評価されるとすごく嬉しいですね。
ですから、個人的な演技について良かったよと評価されるより、作品全体を通して「面白かった、とても良かった」と言われる方がが嬉しいです。
それを前提に、自分のパートを一生懸命やっていこうと心がけています。

他には、真面目に演じる部分はしっかりと演じて、遊ぶところはとことん遊ぼう、といった感じですかね(笑)。



――現在、音泉のインターネットラジオ「砂ぼうず」も好評放送中ですね。
インターネットラジオで斎藤千和ちゃんとワイワイと楽しいトークを繰り広げていますので、こちらもぜひ聴いてください。
毎回ラジオを聴いている人で、「こんなメールを送っていいのかな?」としり込みしている方、どんな内容のメールでも構わないので、気にせずドンドン送ってください。
新コーナーの希望とか、公開録音のリクエストとかも受け付けちゃいますので、メールをガッツンガッツン送ってください!


――最後に、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
このアニメは、原作に負けないくらいスピーディでアクション、コメディ、お色気満載と、一粒で何度も楽しめる作品ですので、ご覧になってない方はハッキリ言って損をしています
見ていただければすぐに面白さが分かるので、まずはアニメをご覧になってください。
また、毎回楽しみに観ていただいている方も、これから最終話に向けて意外な展開が待ってますので、そちらもぜひ期待していてください。

また、音泉のインターネットラジオもよろしくお願いします。ホント、みんなメール送って!!

© 2004 うすね正俊・エンターブレイン/便利屋組合