アフロ・ミーツ・サムライ! まさに和魂洋才どころではない主人公がライバルのガンマンや剣客達と死闘をくり広げるアニメシリーズが、大手ケーブルチャンネルSpike TVで全米放送されるや、なぜ一夜にして全米を“COOL!”と熱狂させる興奮の渦に叩き込んだのか? その謎を解くカギは、“武士道”と“ジャパニメーション”と“ヒップ・ホップ”の三位一体にある。黒澤明の『七人の侍』などが北米映画にチャンバラを伝授したことはあまりにも有名。さらに90年代、日本発の時代劇アクション『Ninja Scroll』(邦題:『獣兵衛忍風帖』が)50万本近い売上げを記録。“武士道”はアメリカ大陸に“ジャパニメーション”という二の太刀を打ち込んでいたのだ。さらに今回は劇場公開を記念し、新たな編集を施し、劇場版オリジナル『アフロサムライ』として公開されることとなった。

 そして本作は、日本人アーティスト岡崎能士が限定出版したコミックを、『青の6号』や『ブレイブ ストーリー』のGONZOが見出してアニメ化を企画。それを偶然目にしたサミュエル・L・ジャクソンが「これこそは俺がやるべき仕事!」と自ら製作への参加を表明したことで、プロジェクトは大きな進展を見せた。かつて銀河でも指折りの“剣豪”を演じたサミュエル自身、主人公アフロサムライを含む二役のボイスアクターを快諾したのをはじめ、ハリウッドの実力派俳優らも出演。そこに『キル・ビル』『ゴースト・ドッグ』などの映画音楽でも著名なカリスマアーティストThe RZAが参加し、「アフロサムライはアーバンカルチャーのエポックとなるべき作品!」と凄まじい意気込みでヒップホップ・サウンドを提供している。

 これまで「ジャパニメーション」が日本に“逆上陸”して成功を収めた例は決して多くはない。だが、去る4月末に渋谷で行われた試写会では、断固支持する!という熱烈な手応えを勝ちえている。それもそのはず、監督は『バジリスク〜甲賀忍法帖〜』などを手がけ、日本のコアなアニメファンから海外まで高い評価を受けている木_文智その人なのだから。

 見よ、アフロヘアの侍という破天荒なヒーローが時代劇のような世界の中で、ボウガンやミサイル、アンドロイドを斬って斬って斬りまくる血風録を。さらには敵役のガンマンとの決闘で「剣は銃よりも強し」を実証してみせる生きざまを。これらすべてが滑稽ではなく、COOL!としか言いようのない驚きは「百聞は一見にしかず」である。

 アフロサムライは現代カルチャーシーンをリードするだけではない。「ポップ」と「オタク」の間にあるカルチャーギャップを一刀両断にする“グローバル・コンテンツ”の侍として、まれに見る日本凱旋を果たしたのだ。
フジテレビ GONZO 電通 ポニーキャニオン トルネードフィルムビクターエンタテインメント xlarge