1万人を超える犠牲者 止まらぬ怪獣災害

「それにしてもあれだな、TVでもラジオでもネットでも、最近のニュースは怪獣災害の話題しか取り上げていないな」

「仕方がないでしょう。我が国始まって以来の、いや人類史上にいまだかつてなかった未曾有の危機が現実のものになっているんですから」

「何を言っているんだ!? 俺がガキの頃には毎日のようにTVの中で怪獣が暴れ回っていたもんだぞ!」

「それは特撮映画の話ですよね?」

「映画じゃない、TVだ」

「どっちでもいいです、そんなの! 大体、特撮怪獣ものなんて、何十年前のTVの話なんですか? 私が子供の頃には、もうそんなのやってなかったですよ」

「寂しいことを言うなよ。怪獣ものって言ったら男の浪漫の定番中の定番だろ? わかんねえのかなあ?」

「わかりません! 私は女です! というか、その浪漫でもう数え切れないほどの人たちが犠牲になっているんだから、不謹慎なことを言わないでくださいっ!」

「そうそう、それそれ。犠牲者の数って今どのくらいなんだ?」

「そうですね……、そろそろ1万人に達しようかというところです」

「数え切れてるじゃねえか。それにしても、そんだけの人間が死んでるってのに、政府には何の対策もないっていうのが情けないな」

「噂では政府と国防軍があの怪獣について何らかの有力な情報をつかんで、対策を講じ始めているとは聞いていますが……」

「まあ、その辺の話はおいおいどっかのマスコミがすっぱ抜くだろうよ」

「って、うちもその『どっかのマスコミ』の端くれなんですけど」

「なんか言ったか?」

「い、いえいえ!」

「しかし見ろよ、こんなご時勢だってのに呑気にアイドルのグラビアなんて載せてるおめでたい週刊誌もありやがるぜ!」

「まあ、被害を受けている地域以外の人たちは、今も変わらぬ普通の暮らしをしているわけですからね。そういう娯楽はどんな時でも必要なんじゃないでしょうか……って、それ『ORERA』の先週号じゃないですか!?」

「たまんねえよなあ、春香ちゃん。このプリケツがなんとも……」

「こんな人、さっさと怪獣に踏み潰されちゃえばいいのに……」

「なんか言ったか?」

「い、いえいえ!! あの、『ORERA』のグラビアって、女の私から見てもキレイだし、素敵だなーって思って見てるんですよ、いつも」

「そう思うなら、さっさと次のゲストをブッキングして来い!!」

「はい、了解です!! 読者の皆さん、次の『ORERA』グラビアを楽しみにしていてくださいね!!」