新兵器? ロボットの正体に迫る

 品川に出現した白い怪獣には、国防軍の兵器が全く通用しなかった。唯一対抗できたのがもう一体の黒い怪獣、いやロボットであった。

 前号において本誌は、2体の怪獣のうち一体は、政府が作ったロボットであるという結論に達した。しかし、ほかにも数多くの疑問が次々と浮かんでくる。あの巨大ロボットの動力は何なのか? あれほどのものを動かすには、原子炉かあるいはそれ以上の出力を持つ動力が必要なのではないか? そんな代物が、何の説明もなしに日本で動き回っている。そしてロボットが歩き回ったり、発射されたレーザーが目標を外れたりするたびに、多数の民間人が巻き添えを食らって死傷しているのだ。今のところその被災者には、何らかの補償が受けられるという当てはない。

 また、あのような巨大ロボットを制作するには、多大な資金がかかったのは間違いない。もちろんそんな予算が国会で審議されたことはないから、とんでもなく多額の金が不正に流用されていたことになる。 さらに、そこまでしてあんなものをあえて作ったということは、政府は事前に、日本に襲来する怪獣のことを知っていたということしか考えられない。とするならば、政府は怪獣について発表されていることよりも多くのことを知っているはずなのだ。 それなのに怪獣が現れたときには、民間人に対してろくな警報も出されなかった。ロボットの方はいつも、確実に怪獣の出現場所に現れていたにもかかわらず、だ。 つまり政府は、本来真っ先に出すべきであった住民の避難命令を、可能であったにもかかわらず全く行っていなかった。その結果、1万人以上もの死者を出すことになったのだ。これを犯罪行為と言わずしてなんと言おう? そして、これだけ怪獣の出現地点を正確に把握できているということは、政府は「なぜ怪獣が日本に現れるか」という理由も知っていると考えるべきだろう。なぜ政府はその理由を明らかにしないのか? 明らかにしたくない理由があるのか? もしや怪獣が日本に現れるのは、日本政府が行った何らかが原因となっているのか?

 考えれば考えるほど、この巨大ロボットには多大な陰謀があるしか想像できない。怪獣と戦うロボットは、決してヒーローなどではない。実は1万人以上の人々は、怪獣ではなく政府の陰謀によって殺されたかもしれないのである。

  政府はどれだけのことを隠匿しているのか? 我々はその伏魔殿に、どこまで迫ることができるだろうか?