理想には決して巡り会えない? 今時のPDA事情

 パソコンやPDA(携帯情報端末)の大型見本市、PC DEXPOが今年も東京メッセで開催された。様々な新製品が紹介されたが、なかなか筆者の理想とする端末には巡り会えない。

 携帯電話は高機能化する一方だが、筆者のようなオールドタイプの人間には、携帯電話での文字入力は困難だ。一文字入力するために何度もボタンを打たねばならず、ちょっと打ち間違えただけで、また何度もボタンを打ち直さなければならないのが耐えられない!

 一方、携帯電話に市場を奪われつつある近年のPDAでは、「携帯電話とは違う商品を」ではなく「携帯電話と一体化した商品を」という考えが生まれてきた。その典型が、スライド式キーボードを搭載したタイプのものである。だがそれらのキーボードは、親指でタイプする形式のものばかり。両手の指すべてを使ってブラインドタッチしたいとなると、もっと大きなキーボードが必要になるのだが、そうなるとノートパソコンサイズにまで大きくなってしまう。

 今まで「ブラインドタッチができるサイズのPDA」として、いわゆるハンドヘルドPCがいくつか発売されてきた。だが「PDAにしては大きすぎる」「大きいわりには性能が低い」という声が大きいのか、あまり人気がないようなのだ。実際、過去に発売されたハンドヘルドPCはすべて生産終了になり、後継機種も出ていない。そのため私は、未だに4年前に発売されたハンドヘルドPCを手放せないでいる。サポートがない状態なので、使い続けるのも次第に難しくなってきているが……。

 携帯電話とPDAの統合が進む一方で、今後は携帯ゲーム機とPDAが統合していくのかもしれない。すでに携帯ゲーム機にGPSを搭載し、カーナビとして使うことができるソフトなども登場しているのだから、携帯ゲーム機にデスクトップPCと連携できるスケジュール管理機能などがあってもいいではないか。これなら、職場でゲーム機をいじっていても言い訳が立つし……(そんなことはない?)

 その携帯ゲーム機は携帯ゲーム機で、やはり「携帯電話の高機能化」という脅威にさらされている。携帯電話のゲーム機能もどんどん強化されており、人は電車の中などでいつも携帯電話をいじっているからだ。とはいっても電話ボタンの操作性では、「どんなゲームも自由自在」というわけにはいかないのもまた事実。

 やはりここは、PDAの機能も携帯電話の機能も携帯ゲーム機の機能も搭載した、夢のような携帯端末を! と言いたくなるのが人情だろうが、そんなものは決して出ないだろう。仮にそんなものが登場したとしても値段が跳ね上がり、第二次大戦の戦艦大和のような代物になってしまうだろうからだ。

 一見、どんどん発展しているように見えるPDA市場だが、自分に合った品を探し出すのはなかなか難しい。それとも、タブレットPCが進化しつつある今、キーボードに固執している筆者が単に絶滅危惧種なのだろうか?